講義概要
- 現代の国際組織について理解するための基本的な概念的理論的枠組について学習する。
- 個別の国際組織の制度を説明する形にはしない。
- グローバル政治における国際組織の役割について理解することがこの講義の目的。
学習目的
- 履修者が下記2点に習熟することを学習目的とする。
(1)国際組織の基礎概念
(2)国際組織の基礎理論
成績評価
- リアクションペーパー60%と最終レポート40%により評価
第1週:導入
- なぜいま国際組織が重要なのか。
- 「国連は多国間主義を取り戻せるか」(ルモンドディプロマティーク)を読む
- 戦争の時代に国際組織について語る意味。
- 国連システムとリベラル国際秩序の危機について。
第2週:定義と歴史
- 国際組織の定義
- 国際組織の歴史
- 主権国家システムについて
第3週:国際組織を理解するための3つのパースペクティブ
- リアリズム
- インターナショナリズム
- ユニバーサリズム
第4週:主権とグローバル化とデモクラシー
- グローバル化を促進する国際組織
- 主権国家をグローバル化から守る国際組織
- 国際組織とデモクラシー
第5週:義務と遵守と制裁
- 国際組織における主権国家の義務
- 国際組織における主権国家の規範遵守
- 国際組織における義務違反国家への制裁
第6週 国際組織の存在論的前提
- アクターとしての国際組織
- リソースとしての国際組織
- フォーラムとしての国際組織
第7週:パワー
- 国家間のパワー関係
- 国際組織における国家のパワー
- 国家に対する国際組織のパワー
- パワーの種類:物的なもの(軍事・経済)と理念的なもの
第8〜10週:国際政治の基本理論
- リアリズム/リベラリズム/コンストラクティヴィズム
- マルキシズム
第11〜13週:国際組織を理解するための国際政治理論
- 制度主義
- 新制度主義:ラショナリスト(合理主義)アプローチとリフレクティビズム(省察主義)アプローチ
- ラショナリスト(合理主義)アプローチ
- 新機能主義
- 歴史制度主義
- 社会学的制度主義
- PA理論(依頼人と代理人)
- レジーム論
- ゲーム理論:囚人のジレンマ
- リフレクティビスト(省察主義)アプローチ
- 規制的ルールと構成的ルール、一次ルールと二次ルール
- 行動の適切性
- 規範のライフサイクル
第14週:第3の国連
- 第1の国連と第2の国連
- 第3の国連の意義
- 国連システムが果たすべき役割
第15週:
- 講義全体のまとめ。
最終レポート
- 今後のグローバル社会における国際機構の役割について論じるための論点を3つあげて、それぞれの意義を概括的に説明しなさい。2000字程度。
参考文献
- ゴーワン、リチャード(2024)「国連は多国間主義を取り戻せるか」『ルモンドディプロマティーク』2024年8月号
- ロベール、アンヌ=セシル(2024)「国際刑事裁判所(ICC)と国際司法裁判所(ICJ):ガザの惨事を裁く国際法廷」『ルモンドディプロマティーク』2024年8月号
- 最上敏樹(2016)『国際機構論講義』岩波書店。
- Barkin, J. Samuel. (2013) International Organization: Theories and Institutions. Second Edition. Palgrave Macmillan.
- Hurd, Ian. (2021) International Organizations: Politics, Law, Practice. Fourth Edition. Cambridge University Press.
- Weiss, T. G., et als. (2019) The United Nations and Changing World Politics. 8th edition. Routledge.
- Carayannis, T. and Weiss, T. G. (2021) The ‘Third’ United Nations: How a Knowledge Ecology Helps the UN Think. OUP.
- Schermers, H. G. & Blokker, N. M. (2011) International Institutional Law. Martinus Nijhoff Publishers.
- Weiss, T. G. & Wilkinson, R. (eds.) (2014) International Organization and Global Governance. Routledge.